2016年2月20日土曜日

ブリュッセルの欧州首脳会議で 何も得ず何も失わなずに勝利した英首相のイメージ 

(パリ=飛田正夫2016/02/20 18:25日本標準時)19日夜遅く2日間に渡った27か国欧州首脳会議はようやくその合意に至った。しかし決まったことは何も特別にはないとベルギーの会議場の王宮広場を前にしてオランド仏大統領が語ったと、国営ラジオ・フランス・アンフォが20日に報道している。それによると、どの国も他のどの国に対しても勝ち取ったものは何一つとして無かったという。デーヴィッド・キャメロン英国首相には共同市場への権限も無く、予定された提出の条約改正案の修正も無く、ヨーロッパ域内の保護法の見直しも無かったという。しかしいくつかの特別配慮の優遇措置を得たとして、キャメロン首相自身は勝利したと喜んでいるという。例えばヨーロッパからの労働者の難民・移民に関し7年間を上限として、総ての英国労働者への社会保障などの特権を英国人と同様には適応しなくてよいことや、欧州議会への密接な参加を義務付けられないでも済んだとかを上げて、キャメロン英首相は国民に英国の独立性を失わないままで英国は欧州共同体に居残ることができたと、これで説得できるとしている。

ブリュッセルでのラジオ・フランスアンテー(France Inter)のマイクで、オランド大統領はインタビューに答えて、改革ではより柔軟性が必要だが、(難民・移民などの外国人)労働者の権利の保証は守られるべきだと話している。

ジャーナリストで現代国際問題の専門家であるアントニー・ベランジェ氏によると、英国首相は何も大したものは得てないのだが、条約の修正案は誰も修正がしたくなければ決まらないわけで、ドイツもフランスもどこの国も条約修正をしたがらない。その場合には次に持ち越すことが出来るということを英国首相は使ったのだと指摘している。英国民の手前があるので、何も得るものもなかったが失うものもなく敢然と英国の利益を擁護して戦って負けたライオンの様なイメージを英国国民に与えたかったのだと言っている。今回の合意は、表面的には誰も何も得ることもなかったので、メルケルもオランドも賛否の立場を超えてキャメロン英首相に正当な次元での支援を謀ったのだともみられる。ヨーロッパを英国が出て行くか行かないかは6月23日に日程が決まった国民投票で決まる。
http://franettese.blogspot.fr/2016/02/eu.html