2016年3月13日日曜日

オバマ米大統領 サルコジとカメルーンのリビア空爆介入を批判

(パリ=飛田正夫2016/03/13 1:52日本標準時)ワシントンで毎月50万部近くを発行している政治・外交・文藝・化学の総合誌「アトランティック」(The Atlantic)の3月10日掲載されたオバマ米大統領へのインタビュー記事が物議をよんでいる。2011年にサルコジ前大統領が先導してカメルーン英国首相を誘ってリビア爆撃が引き起こされたカダフィ殺害事件に触れて、これを強く批判した。それによると、そのサルコジ主導のリビア空爆によって、リビアの国は破裂してしまい、そこにダエッシュ=イスラム主義国家組織(IS)が替わって入り込んで、リビアはカオスの中に沈んだのだとオバマ米大統領はい見ている。民主主義というにはあまりにも程遠い形態をもたらしてしまったのだとサルコジ前大統領を追及して、ヨーロッパ勢のリビ空爆介入の責任が重かったことを語っている。また壊滅したリビア社会の即刻の再建に近距離にいたフランスなどヨーロッパ勢が助力しなかったことも挙げて避難している。


チュニジアで2010年12月17日モハメッド・ブウアジジ(Mohamed Bouazizi)氏が焼身自殺をはかりアラブの春が始まった。しかしサルコジは大統領選挙で当選した年の2007年12月7日にリビアの独裁者カダフィを仏大統領官邸エリゼ宮殿に国賓待遇で読んでいて、その後も大統領就任期間の5年間に渡り独裁者らとの悪い付き合いがあった。それがアラブの春が始まり次々と中東の独裁諸国が将棋倒しに倒れて行く中で、サルコジは自分の政治の所業が批判されることを恐れ始めたのであった。それで、自分が独裁者を嫌っていて悪い尽き会いなどないことを示し自分の身の潔白性を世間に示すために考えられたのが、独裁者の代表としてカダフィを空爆する正義の味方のイメージを凱歌する計画であった。このリビア空爆の謀り事は、外務大臣も内相にも知らされずにサルコジの友人で哲学者だというベルナール・アンリー・レヴィー(BHL)と二人だけで決められたことは有名だ。

2014年9月のパリジィエン紙のジャン・マリー・モンタリ(Jean-Marie Montali)編集長のインタビューでは、サルコジの空爆がリビア市民も殺害してしまった無差別攻撃のことが語られていたが、BHLは「遺恨がない」といっている。

この無差別空爆で子供たちを失った母親の一人であるカダフィ大佐の長女アイシャさんを、フランス国営放送テレビA2のジャーナリストのサマ・スーラさんが2011年6月放映のテレビでインタビューしている。アイシャさんは、サルコジに子供を殺された母親の悲痛を訴え、フランスの戦闘機のパイロットには妻はいないのか子供はいないのか?と訴えていた。アイシャさんはスーラさんのマイクで、「私はすでにこの空爆で息子の一人を失った。婦人たちのパイロットたちは、リビア側市民を守らない。彼らは私の子供たちや私の人民を殺害している。それはどうしてなのか?」「リビア人を多く殺せば、来年の大統領選挙でより勝利できると信じているサルコジを満足させるためなのであろうかと語った」のである。このアイシャさんの発言をオバマ米大統領が知っているのであろう、オバマ大統領は「このリビア空爆で大成功を喧伝したが」「翌年2012年の自分の大統領選挙で負けたのである」と今回「アトランティック」(The Atlantic)誌で述べた。


【参考記事】
http://www.france24.com/en/20160311-obama-cameron-sarkozy-libya-mess-gaddafi-france-uk
http://www.tsa-algerie.com/20160311/libye-obama-sen-prend-a-linconstance-de-david-cameron-nicolas-sarkozy/
http://www.rollingstone.fr/obama-sarkozy-cameron-the-atlantic-libya/
http://www.theguardian.com/us-news/blog/2016/mar/11/barack-obama-right-criticise-natos-free-riders-course-he-is