2016年6月25日土曜日

英国の離脱は 欧州共同体の理念を知らない 資本主義論理での分断化




英国の離脱は 欧州共同体の理念を知らない 資本主義論理での分断化

(パリ=飛田正夫6/25/2016 12:25:26 日本時間)英国の欧州離脱が決まったことを、24日朝に23日の国民投票の結果(離脱賛成51、9%。離脱反対48,1%)として発表された。これに対しフランス側にも賛否両論が当然あるわけだ。フランスは緊急閣僚会議を24日17時からエリゼ大統領官邸で開催する。明日23日には欧州27カ国の外相会議。28日にはメルケル独首相とオランド仏大統領とイタリアのマテオ・レンジ首相がベルリンで英国離脱に関し協議する。英国国民は、欧州第二位、世界第5位の経済大国で欧州共同体から出て行っても十分にやっていけると胸をはっている。英国民はそのような資本主義的論理の判断から、大陸の反人種差別や難民受け入れのヨーロッパの理念からは自由でありたいと考えての、今回の国民投票結果であった。そこには大陸の移民受け入れ政策や人種的寛容思想に基づく平等な社会建設の意図がどこになったのかなどの理解が皆無であったようだ。これはヨーロッパを考える場合にいつも抜け落ちてしまいがちな視点だが、大事である。


欧州共同体の設立が経済や政治的な理由から作られてのではなくて、第ニ次世界大戦を反省しこの悲惨な戦争を回避する平和を目的にできた組織であったのだが、次第に鉄鋼や農業・工業などに連携が及んでその膨らんだ市場を狙った英国などが介入してきたのである。そういう数は、欧州共同体創立国の6カ国から28カ国まで広がっていた。つまり、欧州共同体設立の思想は、ユダヤ人虐殺やロマ人やホモなどを殺戮し、人間を殺す侵略戦争を許したナチスの思想を再度繰り返さないという理念に基づいたものだった。が、その後の欧州共同体加盟国はそれとは直接に関係なく、政治的・経済的な利害から欧州共同体への参入がなされたので、その利害の糸が薄くなれば当然のこと、今回の英国のように分断を計る事態になるのである。そこに理念で結ばれた欧州共同体と、金で結ばれていると曲解した理解の異なりがあったと言える。ある面では英国の離脱は絶好のヨーロッパのチャンスだともいえるのだ。しかしこの国民の分断化は資本主義的な利欲や貪欲が欧州共同体の理念にヒビを入れていくだろう。

デーヴィッド・キャメロン英国首相にそんなヨーロッパの苦渋の理念が理解できるわけがない。この点に触れて書いている英国のジャーナリストもがいないのは当然のことかもしれない。しかしこれは欧州共同体を理解する場合の基本である。

フランス国内での右派のサルコジ「共和党」(LC)議長も24日午後に発言し、英国に手を差し伸べる、より拡大化した欧州共同体を新たに協議すべきだとわけのわからないことを主張するのは、ニコラ・デュポン「立て共和国」代表などと同じく、経済や産業家や金儲けが、ヨーロッパ欧州共同体の理念の前に頭にあるからである。

24日、オランド大統領はキャメロン英首相との電話での会話で、「英国の離脱は非常に残念なことで悲しい」と話した。同時に、オランドは英国国民の決定を尊重するとし、英国はヨーロッパから出て行ったのだから、その結論を明らかに決済することになるが、防衛などの点ではこれまでの通りの関係を持って行くと述べた。キャメロンは10月まで時期の首領が決めるまで、首相を続ける意向をはなした。(1327語)