2016年7月8日金曜日

深淵を覗かせ始めたベッタンクール事件 娘が起訴

(パリ=飛田正夫)7月7日フランスの女性では№1の富豪でオレアル化粧品の社主リリアン・ベッタンクールさんの娘が証人買収の罪で起訴された。娘のフランソワ・ベッタンクール・メイヤー(Françoise Bettencourt-Meyers)は、リリアンさんの会計士であったクレール・チボー(Claire Thibout )さんに2012年末に、表向きには30万ユーロ(約4500万円)の現金を貸してやり、また退職金として40万ユーロ(約6000万円)を出していた。リリアンさんの精神薄弱を利用したとした疑惑の中でリリアンさんの使用人の5人が証人となってリリアンさんの庇護する男友達で写真家のフランソワ・マリ・バニエ氏に対する訴えがなされたが、その中にクレール・チボーさんがいた。チボー会計士はサルコジやブルト財務相に渡す現金5万ユーロを探しに、リリアンさんの管財人パトリック・ド・マイストル氏に言われて、パリの凱旋門広場近くにあった銀行へ出かけて行ったとされる人だ。そのクレール・チボーさんが、マリ・バニエ氏はリリアンさんの精神的薄弱を悪用していたのだとの証言に対して、マリ・バニエ氏がそれは偽証だと訴えていたもの。


マリ・バニエ氏はボルドーの第一法廷でリリアンさんの精神的薄弱に取り入って甘い汁を吸っていたとされ罰金35万ユーロ(約5250万円)と15800万ユーロ(約237億円)のリリアンさんへの返済金が要求され、6カ月の執行猶予付き禁固刑3年が判決されていた。

2016年5月にマリ・バニエ氏は上訴した為に、8月24日に再審がなされる。ボルドー裁判所への出頭命令は元会計士とベッタンクールさんの娘との関係に関してであって、他の使用人は呼ばれていない。したがって、クレール・チボーさんを証人として買収したという問題ではなくて、クレール・チボーさんへの口止め金としての性格が考えられる。彼女は何かを知っていて隠しているのであろう。この事件を担当するロジェ・ル・ロワール判事が見ているものは何なのだろうか。タコの足の様だと祝えるベッタンクール事件はますます複雑怪奇になって行くと同時にまた深い深淵を除かせ始めてもいる。

(文字数 ;931)(投稿日本時間 ;7/8/2016 11:54:35)

【参考記事】
http://www.challenges.fr/top-news/20160707.REU2088/la-fille-de-liliane-bettencourt-mise-en-examen.html
http://www.lexpress.fr/actualites/1/societe/temoins-de-l-affaire-bettencourt-la-fille-de-la-milliardaire-chez-le-juge_1810005.html