2010年12月6日月曜日

仏左派系メディアでコンピューター連続盗難  インターネット・新聞社「Rue89」も

フランスを代表する有名メディアのルモンド紙や左派系のルポワン誌、仏政治暴露と風刺の専門新聞「カナール・アンシュネ」や、インターネット新聞メディアパーなどであいつぐコンピューターの盗難事件やスパイ事件が続出していた。いずれも政府関係の不正賄賂献金疑惑を追っていたメディアである。フランスの無料インターネット新聞社「Rue89」に9月20日夜から21日にかけて強盗が入り20台以上のコンピューターが盗まれ編集室が荒らされた。一連のメディア各社のコンピューター盗難事件との関連が憶測されていたが、9月29日、「RTL info」ラジオが放送したところでは監視カメラに写っていた20才の2人の青年が容疑者としてパリ市内で検挙されたという。2人は警察にはよく知られていたがスパイではなかったという。

コンピューター盗難は、大手化粧品のロレアル社長でフランス第一の大富豪リリアン・ベッタンクールさんから政治資金を受け取ったとされる政府要人やエリック・ブルト労働相(15日の第3次フィヨン内閣改造で大臣職を去った)を担当していたジャーナリストたちであった。

「Rue89」は、ピエール・アスキ社長やパスカル・リッシェ編集長など左派系新聞のリベラション紙出身の記者が多い会社だ。経営はネット広告だけでなくジャーナリスト養成学校やサイト作りの企業も運営している小規模な会社である。

サイトへの訪問者は1日当たり20万から30万ほどあって、フランスで第10位の強力なネット新聞社だ。広告を掲載するが、反権力の新聞のひとつに数えられている。この夏からは100頁ほどの月間紙を発行して紙の分野にも挑戦している。(上掲載写真参照)

連続するコンピューターの盗難事件は、サルコジ政権に批判的なメディアで起こったためにフランスメデアと権力の深刻な対立の構図が再び浮上してきていた。

2002年5月8日のカラチ仏人テロ殺害事件に絡む不正コミッション疑惑を担当していたジャーナリストの動きを仏政府情報局員を使って監視していたとしてメディア・パーのエドウィー・プレネル会長は、12日ゲラン大統領官邸書記総監をスパイ容疑で告訴している。(上掲載写真参照)

一方、100年近い伝統をもつ政治家風刺と暴露の専門週刊紙カナール・アンシェネ社長はベルナール・スカルチィニ対政府秘密情報局(DCRI)局長を総てのジャーナリストを非合法な監視とスパイをしていたとして10日に訴えを出した。(上掲載写真参照)

これに対し誹謗中傷だとしてゲラン氏とスカルチィニ氏は逆にメディア側を告訴した。

ジャーナリストの訴えが事実ならば新聞の自由の賛否を超えて民主主義の存在根拠をも脅かす重大な事態になっている。






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写真はいずれも(写真撮影/筆者)

①インターネット・新聞社「Rue89」の創刊号(月間紙)

②「Rue89」のパスカル・リッシェ編集長

③仏政治の風刺と暴露の専門週刊紙「カナール・アンシェネ」社、ルーブル美術館近くのサントオノレ通りにある。写真は玄関で迎えるカナール(アヒル)。

④インターネット・新聞社の「メディアパー」(正面2階が同事務所)

⑤ルモンド本社