2010年12月29日水曜日

アフガニスタンで誘拐のジャーナリストの釈放求め家族が仏政府の楽観主義を疑問視

国営フランステレビ「フランス 3」のルポ・ジャーナリストであるステファン・タポニエーとエルベ・ゲスケィエールと3人のガイドはアフガニスタンのカブールから60キロほど離れたフランス軍隊がいたカピサ山中で2009年12月30日に誘拐されてから丁度1年目を迎えた。29日パリでは凱旋門をスクーリンとして2人の顔が映し出された。最近急に2人の釈放を求める動きが高まったのは新任のアラン・ジュッペ防衛相がアフガニスタンをクリスマスで仏軍慰安訪問をしたからだ。しかし2人のジャーナリストとの連絡は取れてない。家族はこれに疑問をもってフランス政府の楽観主義を酷く残念だと嘆いている。

サルコジ大統領はテロリズムに関して「彼等テロの指図は受けない」といっていて、身代金を払って釈放することには反対してきている。12月29日の「ルモンド紙fr.」によると、与党国民運動連合(UMP)のフレデェリック・ルフェ-ブルスポークスマンらはジャーナリストの戦場ルポを批判して、ジャーナリストの責任を厳しく非難した。このことで倒立した雰囲気が一般的なメディアの論調になった時があった。またゲラン大統領官邸書記総監が危険を無視した罪だと批判して、ジャーナリストの戦場取材を止めさせようとしていた。

国境なき記者団(RSFルポルタージュ・サン・フロンチェー)では次の釈放の約束などでは不十分で、サルコジ大統領はフランスが優先的にこの問題に取り組むべきだとしている。

政府はテロで誘拐された人々の釈放にはあまり積極的ではなようだ。タポニエー氏の家族は政府が当初はじきに釈放されるとか、ラマダンのころには釈放されるなどといっていたがそれも実現しなかったといった。その後はクリスマスの頃には釈放されるといっていたがこれも実現しなかったと述べている。2月26日にサルコジ大統領はジャーナリストの家族に電話して彼等の解放が進んでいることを伝えていた。9月末には具体的な解放に日取りは示さずにクリスマス以前には釈放されると示唆していた。

アフリカのマリで学校建設援助協会を創立したフランス人ミッシェル・ジェルマノー氏(78才)が過激派イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ(AQMI)に誘拐されてニジェールNigerへ連行されて殺害されたが、このときにモーリタニア軍がアルカイダ(AQMI)壊滅作戦をやっていた。フランス軍はこれに便乗するかたちでもって参戦したといっているが、モーリタニア外務省はそれを否定している。エルベ・モラン前国防大臣は結局はサルコジ大統領によるジェルマノー氏の死亡確認はアルカイダ側のカタールの中東の衛星テレビ局アルジャジーラの情報による以外はなかったとテレビに出演して答えている。

(これに関しては文末の【関連記事】を参照)

フランスのテレビやラジオでは最近は毎日、ステファン・タポニエーとエルベ・ゲスケィエールが誘拐されてから今日で何日目だと報道している。しかしこれは死刑宣告を日読みしているわけで全く恐ろしいものである。メディアの視聴者はこれが当たり前の日常のようになってしまい毎日決まった時に決まった宣伝が放映されているのと同じで、テロの恐怖の無感覚化が日常の一般的な空気として形成されてしまっていることが危険なのだ。



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ニジェールの仏人誘拐釈放は交渉で、軍事介入の危険性はジェルマノー氏が死の証明

エルベ・モラン仏国防大臣は9月23日、フランスはニジェールで誘拐された7人の釈放で「アルカイダ(Aqmi)との接触可能な交渉形態を望んでいる」「もっかフランス側の心配は交渉に入るアルカイダ側からの要求事項が正式に示されてないことだ」とラジオRTLで発言した。アルカイダはフランス側が交渉に軍事介入してくれば、ジェルマノー氏の殺害を手本にする可能性が大きい。そのためにマリに戦闘機2機を派遣したが軍事介入は停止されているのはそのためだ。

4月にニジェールで誘拐され7月24日にマリで殺害された人道支援活動家のフランス人ミッシェル・ジェルマノー氏(78)の場合では、誘拐者の過激派イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ(Aqmi)との釈放の交渉はなかった。それはフランス政府がテロリストとの交渉は一切ありえないという態度に出ていて、ジェルマノー氏の救命の手段として身代金交渉をしようとはしなかったためだ。

ジェルマノー氏の釈放の交渉はフランス側からは無かった。Aqmiは7月25日までの期限を定めていたが、Aqmiの基地が襲撃されて兵士が7人死亡した。その復讐としてジェルマノー氏が殺害されたとAqmi側から声明が出たがその後の25日をまって、サルコジ大統領はジェルマノー氏の死亡を宣言している。25日は殺害執行のタイムリミットになっていたからだと考えられる。モラン国防大臣のテレビでの説明では、カタールの中東の衛星テレビ局アルジャジーラの死亡報道(23日)を信じる他には、フランス側にはジェルマノー氏の死亡を確認する根拠は何もなかったと答えている。そのために殺害執行予告の25日をまってサルコジ大統領の死亡宣言が出されたと考えられる。

ジェルマノー氏を救出できなかった理由をクシュネル外務大臣は「交渉できなかったのはアルカイダ(Aqmi)からの正式な要求が提示されなかったためだ」としているが、これはいいわけにすぎない。

スペイン政府は8月に身代金を支払ってスペイン人2人をアルカイダ(Aqmi)から解放するのに成功した。フランスのサルコジ大統領はこのスペインの解放交渉を暗に批判しながら、テロとの交渉は絶対に有り得ないと論じている。また、「身代金を支払ったり、(誘拐された)罪の無い人と交換で(テロリストの)囚人捕虜を解放するというだけが唯一の作戦ではない」と宣言している。

モラン国防大臣はサルコジ大統領とは異なって交渉をシステマテックに拒絶するというやり方はとらないように見受けられる。

フランス通信(AFP)がモラン国防相の発言をクシュネル仏外務大臣に問い質したが外相はコメントを拒絶したという。


過激派イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ(Aqmi)側から、15日から16日にかけてニジェールのアレバ社員誘拐犯行の声明が9月20日にアルジャジーラ放送からだされたが。その誘拐の予告は二週間ほど前に直接にニジェールのウラニューム採掘所のある現地アレバ社に通知されていた。