2011年1月30日日曜日

ムバラク、新内閣の組閣開始を発表、エジプト民衆の抗議デモの高潮を恐れた芝居か?

29日にムバラク寄りの秘密情報局オマール・シュリーマンが副首相になった。28日深夜に、エジプトのムハンマド・ホスニ・ムバラク大統領は29日から政府の新内閣の組閣を開始すると国営テレビで発言して時間稼ぎの芝居をうっていた。その演説の中ではエジプト民衆が要求しているムバラクの国外排斥の抗議デモに関しては一言も話しが出なかった。国民は25日以来、チュニジアのベンアリと同様にムバラクがエジプトから出て行くのを要求してきたのである。

28日のカイロからの報告によると、カイロのダマンフール地区ではムバラク大統領が党首である国民民主党(NDP)の建物が壊された。デモは警察所を襲いデモで逮捕され拘置されている人々を解放した。警察はカイロのタリリ地区では白砲を空に撃っているという。今後は軍隊がデモの民衆に協力するかに賭かっているとの意見もだされている。

27日夜にエジプト人民のモバラク打倒の運動を支持するためにモハンマド・モスタファ・エルバラダイ氏(68歳)がエジプトに帰国した。同氏は2005年のノーベル平和賞受賞者でカイロ大学やニューヨーク大学で法学を学び国連本部の国際原子力機関(IAEA)の事務局長(1984-1987)などを務めている。エルバラダイ氏の周辺にデモの民衆が結集しようとしいる。エルバラダイ氏は28日、これまで警察の発砲で死亡した人々の追悼抗議デモの行進に参加した。その最中に捕らえられて現在は警察の監視下にあるという。

エルバラダイ氏は「制裁は全部失敗する。うまくいかない」 「(民衆から)離れた政治は総て失敗する」といっている。また同氏は 「現在エジプトが歴史的な岐路に立っていて、民衆の意思が尊厳されなければならない」とし、「唯一モバラク一派の打倒を可能にするのは民衆の意思と活躍しかない」 「それ以外のどんな方法も期待した目的は達成できない」と革命の定式を主張してみせているという。

エジプト政府によるエジプト民衆への弾圧は、インターネットや携帯電話回線網の封鎖によって閉ざされて外国では事件の真相が見えにくくなっている。

モバラクは芝居がかった新組閣の懐柔策で民衆の批判をかわしながら政府の危機を乗り切ろうとしているようだ。