クロード・ゲラン内務大臣は「フランスは移民統制ができないので、しばしば自分の国にいるようでない気がする」と18日にラジオ・ヨーロッパ1で発言していていた。有毒ガスを撒き散らす国家が人種差別の憎悪を惹起させる教唆扇動の発言だとして批判を受けていた。大統領や大臣が地方圏議会選挙への口出しと意思表示を鮮明にするフランス政治の異常性を批判する声が野党などから高まっている。
2010年7月30日のサルコジ大統領のグルノーブル宣言はフランス共和国の大統領による移民への差別発言として余りにも有名になた。が、これを支えて欧州議会(EU)からも批判されたロマ人排斥を実行したのはゲラン内務大臣の前任者ブリス・オルトフゥ内務大臣(元移省大臣)であった。オルトフゥは、アラブ系フランス人への人種的差別の発言で侮辱罪を受け750ユーロ(約9万円)の罰金刑となった大臣だ。「リベラシオン紙fr.」など各紙が報道している。
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【コラム】 リビアのカダフィ軍への「軍事介入の正当化」をサルコジ仏大統領が解説
フランスのニコラ・サルコジ大統領主導で開始されたリビア軍への空爆軍事介入だが、これを正当化して「数千の死が回避されたのだ」と発言した。「カダフィ軍が戦いを止め次第、攻撃は止める」としたが、戦争終結の日取りは発言されなかった。この背景には連合国側による市民攻撃の事実がネットなどで暴露されていて、サルコジによってリビア戦争の目的が曖昧なままに始められたことへの批判を心配するサルコジの危機感がある。
サルコジの提唱で始まり、欧州議会(EU)やアラブ諸国や国連安保理を政治的に巻き込んで展開されたリビアのカダフィ軍への空爆が市民の安全を擁護できずさらなる戦争拡大に拍車をかける危険があるとしてドイツやロシアから以前として批判されていたことが現実となってきているからだ。
3月25日のロマンディ・ニュースなどが伝えているところでは、サルコジ大統領はリビア戦争の責任を回避するが如く次のような発言もしている。1998年7月のスロベニアの例をあげながら「セルビアによるイスラム教徒8000人の殺害を止めることができなかったのは、国際社会の介入がなされなかったからだ」とサルコジは解説し結論している。
サルコジ主導のカダフィ軍への空爆の発案者として紹介されたベルナール・アンリ・レヴィは、24日夜のフランス国営放送・テレビA2のニュースに出演しサルコジ同様にリビアのカダフィ軍への介入を正当化する主張を展開した。