2011年3月16日水曜日

パリG8は分裂で 仏の「リビア領空権禁止」は不成立 カダフィは容易に失地奪還へ

3月15日、パリ開催のG8首脳会議ではフランスと英国の両国が強く主張したリビアのカダフィ大佐封じ込め政策で、蜂起勢力側を唯一リベア政府の代表と承認したフランスからリビアの領空権を奪取する提案が提出されたが、中国とロシアが強く反対し成立しなかった。ドイツのメルケル首相なども人民の安全が保障されないなど北アフリカでの戦火拡大を恐れサルコジ大統領の空爆論の主張には反対していた。このことでリビアのムアマル・カダフィ大佐の失地奪還が容易に実現している。

フランスのサルコジ大統領はこれまでのリビアとの経済提携の親交を隠し去る必要があった。そのめに、「アラブ諸国の春」で独裁者から独立する民衆革命運動側への支援の出遅れを回復する方針をとったわけだ。

ベンアリ側近のアジズ・ミルド(d'Aziz Miled)とサルコジ側近のミッシェル・アイオマリ仏外務大臣(前内相、元防衛相、MAM)との癒着関係はMAMのチュニジア家族招待旅行がメディアで暴露されていた。さらにはエジプトのムハンマド・ホスニ・ムバラク大統領とフィヨン仏首相のアスワン・豪華招待旅行なども同じ例だが、独裁者とのフランス政府首脳との癒着関係が目だってフランス外交の質が問われていた。

このことで民衆をわすれて独裁者と付き合うフランス外交の評判落ちを取り返そうとして、今回はリビア外交の急激な変更路線をとることになったがうまくいかなかった。

長年の付き合いのあるリビアのカダフィ大佐を独裁者扱いにすることで、フランスは、自分は汚い残忍なカダフィとは無関係だとして人権に反するカダフィの行為を制裁することにしたようだ。しかし簡単には歴史は変えられなかった。そのためにサルコジ大統領の人気低下は最低線までいくことが危惧されだしている。