2011年4月6日水曜日

放射能汚染水漏れはEPRでも完全回避は無理 福島原発事故で首をつないだのはローベルジョン、アレバ社長

サルコジ仏大統領がアレバ社のアンヌ・ローベルジョン社長(51歳)の任期切れが6月ということもあり近く解任するとの声が噂されていた。両者の関係はうまくいってなかったこともある。ところが福島の地震・津波・原発基地問題が起ったことで本件の事情に詳しいローベルジョン社長の首が飛ばずにすんだという。有能な彼女の首をサルコジは切ることができなくなったというのだ。

3月30日の「フランス・ソワール.fr」は「アンヌ・ローベルジョンは福島で奇跡的に命拾いした」と記事にタイトルをつけた。

原子力産業が批判に立たされて困難な時代に世界的な原子力産業のリーダーとして英仏に72基の原子炉をもつ同社に日本から救援の期待が寄せられたという。

フランス通信(AFP)の3月30日の報道では、フランスは先ずは福島原発基地への援助として手袋とツナギの作業着を送り、次にガール県のマルクール(Marcoule)放射能汚染排水処理工場の専門家2人を東電の相談役として日本に送るといっている。

ローベルジョン社長は福島の原発事故にもかかわらず、4月12日に開設されるクルゾ(Creusot)県の原子力新技術センターを訪問するとすでに発表している。

福島原発基地事故の影響でフランス国内でも原発反対の機運が高まっている。これに関し、国際環境団体・グリンピースのフランス支部会長は原発を賛成か反対かの決断を問うのではなくて、計画的に段階的に原発を無くしてゆくことに賛成か反対かという問い方が必要だといっている。もちろんこのヨーロッパエコロジー・緑の党(EELV)や野党の立場とサルコジ大統領やアレバの主張とはその方向性において根本的に対立するものだ。

「欧州加圧水型原子炉(EPR)であったのならば福島の放射能汚染水の漏れは避けられたのではないか」と3月16日にローベルジョンは記者会見した。しかしそれは100%確実な安全保証の発言をしたわけでは勿論ないのであり、福島の原発事故が完全に避けられるということを言ってはいないのである。

アレバ社の大株主はフランス原子力庁CEA(Commissariat à l'énergie atomiaque et au énergies alternatives)で73%を持つ。フランス政府は10.2%。クエートが4.8%、フランス電力(EDF)が2.2%となっている。