6月7日、シリアの戦局がバッシャール・アサド大統領に不利になってきたことで、シリア政府の民衆への弾圧を裁くためにフランスはいつものように後ろ盾となる国連(ONU)の決議案を欲している。アラン・ジュッペ仏外相がワシントン訪問で英国・ドイツ・ポルトガル・フランスの名で希望を要請した。しかしロシアと中国はシリアへの欧州4カ国による内政干渉を指摘していて国連採決の拒否権行使をする可能性が強い。
6ヶ月前にパリを訪れていたアサド大統領はサルコジ大統領によって大統領官邸エリゼ宮殿に招かれていたが今は敵にされている。フランスの外交は「アラブ諸国の春」で遅ればせながらの急旋回をしてみせていて、マグレブ諸国(モロッコ・アルジェリア・チュニジア)や中東の独裁国に反対する立場をとりはじめたが、これはこれまでの行動とは整合しないところがある。
シリアのバッシャール・アサド大統領は11年間も独裁者であったがその父ハフェズ・アサドが1971年から死亡する2000年まで大統領になっているので親子の合計は40年間の家族統治ということになる。この数字は恐るべき独裁国家の象徴でエジプトのムハンマド・ホスニ・ムバラク前大統領でも30年であった。チュニジアのジン・アビディン・ベンアリ前大統領は24年であった。
リビアのムアマル・カダフィ大佐は41年の独裁でこれに肩を並べる。問題はフランスはそのような国を「アラブ諸国の春」の革命がはじまった後から追いかけるように批判していることである。フランスはこれらの独裁者と友好関係を結び支援してきたのである。
(参考記事)
La France veut une résolution à l'Onu sur la Syrie - Le Point