１６日与党国民運動連合（ＵＭＰ）のボルドー市長アラン・ジュッペ、ボルドー市長（元仏首相）は「旅の人々」と「ロム」人*とは別のものだとして「すべて混ぜこぜにすべきではない｣と発言し現在フランス政府が行っている移民の不法住居の取り壊し政策とは異なる見解となった。「旅の人々」はフランス人であり仕事をしている人々で彼等の習慣に従って移動しているものだ。我々はボルドーではどんな追放もないと語った。（本文の初出 /公開日時: 2010年8月18日 @ 1:02 ）
１５日朝にピレネー・アトランティック地方のバイヨンヌに近いダングレ（d’Anglet）の町を機動隊によって撤去させられた２５０台のキャラバンと自家用車の「旅の人々」はボルドー北部の国際展示会場のあるボルドー・ラック付近のジュール・ラドメーグ通り（cours Jules-Ladoumègue）に移動場所を決めた。ここは彼等の習慣で使われている場所だという。しかしアキテーヌ県知事（知事は政府から任命）がこの受け入れを拒絶し機動隊によって再び退去がなされた。代わりに展示会場のパーキング場が提供されたが、「旅の人々」はそこは子供にとって安全でなく、水や電気もないとして提案を拒絶した。
「旅の人々」は不満をボルドー市長に抗議した。ジュッペ市長は新たな提案として電気や水のあるトルビル通りへの移住の可能性を提案している。ボルドー市長は移民のフランス国籍剥奪の件でのサルコジ大統領の発言に対しても意見を異にしていて、｢先ず現在ある法律を適用すべきであり｣、「ロムであることやルーマニア人がオリジンである事が問題だという事を述べているのではない」として、ＵＭＰ内での一般的なサルコジ仏大統領寄りの立場との微妙な立ち位置の違いを表した。
１６日午後、同市長と「旅の人々」との会見で市長側の提案も退けられた。理由はゴミ処理場の脇で｢汚く｣ 「非衛生的｣だからだという。 「旅の人々」のアソシエーション側では２５０台のキャラバンを入れるには二ヘクタールの敷地は狭すぎるといっている。
「旅の人々」は大西洋側のスペイン国境に近いピレネー・アトランティックのダングレの町のキャラバンのキャンプを機動隊によって撤去され追放された。これに抗議して県庁所在地であるボルドー市への北からの幹線道路であるガロンヌ川にかかるアキテーヌ橋をキャラバンを並べて封鎖した。機動隊に再度ここでも撤退されてボルドー市の北はずれのボルドー・ラック国際展示会場付近の道路に250台の自家用車とキャラバンを並べて抗議した。この混乱の中で16日にボルドー市長が解決に乗り出したもの。ジュッペ市長は「機動隊で包囲するのでなく対話で解決していきたい｣と政府や知事のやり方とは異なる見解の違いを表明している。サルコジ大統領が７月末にグルノーブルで移民差別宣言をしてからフランス国内で移民の不法キャンプをしらみつぶしに撤去する方針をうちだし３００箇所がその対象に上げられて毎日のように追い出しが行われていた。
「旅の人々」はフランスには４０万人ほどがいてその９５％はフランス国籍を持つといわれている。「ロム」と呼ばれる人々は貧困のために最近ヨーロッパに移動しているブルガリアやルーマニアの移民だ。フランスには１５０００人ほどがいて３ヶ月の滞在は許可されている。 ｢ロムの問題はスクオット（不法住居占拠 squat）でそれは完全に不法のものだ。これは法律が適応されると思う｣とジュッペ氏は述べる。また排除の対象は、「法律に照らして受け入れられない家屋をスクオットし、一般には・・・・・周囲の住民や市から立ち退きの要求があった場合である｣と述べている。ジュッペ市長の見解は、国による一方的な「旅の人々」への立ち退き介入事件に水をさす見解となった。ボルドー市長は、さらにこの問題の解決の困難な状況を説明し、彼等の住居の形態が一般的なものではない事に起因しているからだとしている。
「ロム」人* 日本では｢ロマ｣などとされている表記もある。仏発音ではロムである。
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