27日23時30分ごろにフランスのモンペリエとナルボンヌの間にある地方都市ベジエの町で15歳の少年がナイフで心臓を刺されて死亡した事件があった。30日昼のフランス国営放送・テレビA2などが報道した。25日16時頃にパリの東部18キロのセーヌ・エ・マルヌ県のコレジィエン市では12歳13歳の青少年たち6人を運ぶミニバスの鳴らしたクラクソンに腹をたてた乗用車から銃弾が撃たれた。死傷者はなかった。が、調査中にもかかわらず自家用車のプレート・ナンバーの一致から、「あれは旅の人々のものだ」と特定するような人種差別の集団的烙印化を髣髴させる発言が、ある警察のインタビューで出た。ベジエでも逆差別の方向で同様な発言が起こるとも限らなかった。その意味でセドリック少年の親近者たちは人種差別の集団的烙印(スティグマ)化に冷静に対応しながら、そのスピラル化を煽ることなく「自分達は平和裏に抗議の行進をするだけです」と発言したことを評価したい。(本文の初出 /2010/08/30 )
刺した男性は33歳で麻薬患者で前科があった。事件の起こりは前日にタバコを要求したのを拒絶されたことが原因らしい。30日の朝に多くのジタンの人々が集まって少年の死に抗議する集会が開かれた。「セドリックは確かに悪い事もしたかもしれないが、殺す理由にはならない」、「自分たちの子供と一緒に、裁判が犯人を裁くことを要求して、自分たちは平和的に抗議の行進をするだけです」とセドリック少年の親近者たちはいっている。
ベジエは地中海から少し奥まった丘陵地にある古い都市で南仏運河の建造者ポール・ルキエールの生まれた町としても有名だ。カマルグ地方のアルルと共にジダンの人々が集まる町である。7月末のフランス南部都市グルノーブルでのサルコジ大統領のロマ人や「旅の人々」への人種差別宣言によって、フランス中が混乱している。そういう状況の中で起った事件でもあり、慎重に調査を進める必要があるだろう。(本文の初出 /2010/08/30 )
【関連記事】
国連も一斉に、サルコジ仏大統領の人種差別を批判仏国旗に「恥のシミ」