2016年2月27日土曜日

サダム・フセインの石油でトータルが再審で罰金刑 国連の計画を破壊

(パリ=飛田正夫2016/02/27 0:51日本標準時)26日、トータル石油はパリ裁判所での上訴が棄却されて、国連(ONU)の安保理の計画「食料対石油」を破壊した外国公務員が汚職罪で75万ユーロ(約11250万円)の罰金刑が宣告された。同様にスイスの銀行ヴィトル(Vitol)は30万ユーロ(約4500万円)の罰金が課せられた。11人が罰せられ1人が無罪になった。その中には元国連付き大使ジャン・ベルナール・メリメ(ean-Bernard Mérimée)や元外交官セルジュ・ボワデヴォー(Serge Boidevaix)の名が挙がっている。事件は1990年の第一次湾岸戦争でイラクによるクウェート侵略の後に、国連(ONU)の安保理が1996年から2003年までに執行した計画「食料対石油」は、国連がイラクの独裁者サダム・フセインへの厳しい経済制裁包囲網を各国に要請しながら行ったもので、フセイン体制下の石油販売量を制限し国連(ONU)のコントロール下に置きながら、この経済制裁包囲網でイラク国内の市民への被害を少なくするために人道支援として食料と引き換えに一部の石油を輸入した。ところが、イラクは平行貿易を使ってこの国連の計画を反故にし、さらに値段を釣り上げて数百万バレルの石油をフランスなどの友達仲間に売り裁き悪どい利益を得ていたもの。37の契約の内30が違法のものだったが、パスクワは1999年の3つの契約で約1200万バレルの石油で利益を得ていると経済犯罪取り締まり局(BRDE)は2006年4月5日の報告書で発表している。


メリメは5万ユーロ(約750万円)とボワデヴォーには7万5000ユーロ(約1125万円)の罰金刑が課せられた。その他の者も同様に、執行猶予付きで5000ユーロ(約750円)から10万ユーロ(約1500万円)の罰金となっている。

この事件の中で中心的な役割をしていたと見られるフランス政界の大物シャルル・パスクワ(charles pasqua)とトータル石油の中東開発生産の社長クリストフ・マルジェリ(christophe de margerie)らは2011年にパリ軽罪裁判所に送られて、2013年7月8日の第一次判決では全員無罪になり、既に死亡していたためにこの二人は今回は上訴されてない。トータルの前社長の方は原因不明の事故でモスクワの飛行場で乗っていたフラコン50小型高級ジェット機(Falcon 50 immatriculé F-GLSA)と除雪自動車が不思議にも滑走路で接触して2014年10月20日に死んでいる。

パスクワはサルコジ前大統領の慕う大先輩で内務大臣として移民排斥で有名で、悪いことも数多くやり2度牢獄に入っている。パスクワはヌィーイ・シュール・セーヌ市の審議会議員の頃にその後釜にアシール・ペレッチを考えていたが同氏が心臓麻痺で急死したためにサルコジが後釜に座り政界への進出の契機となった。シャルル・パスクワも2015年6月に死亡していたためにクリストフ・マルジェリ同様に今回刑はなかった。


【参考記事】
http://www.francetvinfo.fr/faits-divers/justice-proces/petrole-contre-nourriture-total-condamne-a-750-000-euros-d-amende_1332989.html

http://www.latribune.fr/economie/international/petrole-contre-nourriture-total-condamne-a-la-peine-maximale-en-appel-554055.html

http://www.20minutes.fr/societe/1794803-20160226-petrole-contre-nourriture-total-condamne-750000-euros-amende-appel-corruption
http://www.20minutes.fr/societe/765504-20110802-petrole-contre-nourriture-total-juge-corruption-presumee-irak
http://ici.radio-canada.ca/breve/46822/france-petroliere-total-condamnee-dans-affaire-etl