(パリ=飛田正夫3月23日 2:42)3月22日、フランスの最高裁判所は、「権力関与」と「職業秘密盗難」で起訴されていたニコラ・サルコジ前仏大統領の電話盗聴会話内容を裁判証拠資料物件として証拠能力有りと判断した。このことで、サルコジ氏は2人の予審判事の予備調査が2月初旬に終了しているために、今後は訴状が3ヶ月以内に作成されて軽罪裁判所で裁かれることになる可能性が高まった。サルコジ氏の裁判は2017年の大統領選挙前には、判定が着く予定だ。このことで右派陣営はひっそりと静まり返っていて、今のところ誰一人として口を開くものはいない。来たるべきものが来たという感じだ。裁判所が承認した電話盗聴会話資料というのは、2014年2月にサルコジ氏の弁護士チェリー・ヘルゾーグがニースでサルコジとの連絡用にポール・ビィスムスの偽名で携帯電話をサルコジに買い与えていたもので、これが司法警察の盗聴調査網に引っかかったもの。その頃にサルコジは、フランスの億万長者ベッタンクール婦人から大統領選挙資金を現金で受け取った容疑の裁判で苦しんでいた。(追記/
2016/03/27 10:13日本標準時 )
最高裁内部にいたジルベール・アジベール判事は老後の天下りなのかモナコの高官職を希望していた。これを知ったヘルゾーグ弁護士がサルコジに話し、最高裁判所内部のベッタンクール裁判の運営計画情報の動きなどをサルコジに流す代わりに、アジベールの欲しがっていたモナコ高官の地位を獲得するのにサルコジが権力でひと押ししてあげると約束した。そのやりとりの会話が司法警察によって盗聴されてしまっていた。
この盗聴は別件で、サルコジがリビアのカダフィ大佐から多額の選挙資金を受け取った容疑で司法盗聴が行われていた時に、偶然に、リビアの事件とは全然関係のないこの携帯での会話が引っかかって警察に抑えられていた。最高裁はこの携帯盗聴を別件で獲得したものではあるが、裁判での有効資料として今回、承認したのである。サルコジはアジベール判事との約束を果たす為にモナコ国へ出かけていくのであるが、盗聴されていることに気づき実行は中止されている。