ジュッペの考えはやはりシラクの優等生として人権思想でも、フィヨンが起訴されたドゴールなどは居ない筈だとサルコジを皮肉って批判しているとはいえ、異なっている。シリアの独裁者アサド大統領に対しても認識の違いが二人の間にはある。ロシアのプーチン寄りのフィヨンとは、ジュッペはこの点でも異なっている。
メディアは右派・中道のプリメールは全く問題なく尊厳あるものであったとその成功を称賛している。しかしサルコジ派やジュッペ派が深い亀裂を残した後で今後どのように、フィヨンを支持していくことができるのかが疑問である。
来年の仏大統領選挙では国民全体でのフィヨンの支持率はそう高くはないだろう。マリーヌ・ル・ペンFN総裁を初回で打ち負かし、フィヨンの極右翼的な政策を彼らに支持させることは可能で、それをフィヨンは狙っているのだろう。
もし左派社会党が予選で負ければ、ジュペならば投票するだろうがフィヨン-サルコ路線には投票しないだろうが、ナチスを支持するペンにはなおさら投票できない。そういう左派のジレンマを予想していて、これを最終戦でフィヨンは期待しているはずだ。つまり予選でペンが負けても左派社会党が負けても、その負けた側の票がフィヨンに最終戦では入って来るように極右派のゴーリスト主軸をアピールする大統領選挙戦をしていくと考えられる。これは勿論のこと予選で残れることが大前提ではある。
左派社会党のプリメール候補登録の最終日が12月15日で、それまでにはオランドが再度の出馬をするのかどうかの表明もされるずだ。仏元経済相エマニュエル・マクロンは独自に仏大統領選挙に出たがっている。が、左派党共同議長のジャン・リュック・メランションもマニュエル・バルツ首相も、大統領選挙に出る意思のある者は全員がプリメールに立候補して、その中で左派の結束をしていかないと、今後の闘いに大きな亀裂ができて、フィヨンやペンに分裂させられる原因を作ることになる。
【参考記事】
http://www.france24.com/fr/20161128-francois-fillon-revue-presse-primaire-droite-gauche-francois-hollande-valls-election