(パリ=飛田正夫2016/03/30 9:53日本標準時)3年後に新装になったポン・タヴァン美術館が再開する。ポール・ゴーギャン(Paul Gauguin 1848-1903)の作品が少ないためにオルセー美術館は2枚の有名なゴーギャンの絵「雪のブルトン村」(Village breton sous la neige 1886)と、「ポン・タヴァンのラベンダ畑」(Les lavandières à Pont-Aven vers 1894)を展示できるように貸し出した。ゴーギャンはこのブルターニュのフィニステール(Finistère)地方南部のポン・タヴァン(Pont-Aven)に1886年から1894年にやってきた。ポール・セルジエ、エミール・ベルナールなどの画家たちと共に、後にポン・タヴァン派と呼ばれるようになる絵画の流れ(1888-1894)を生むことになる。ポン・タヴァンは、コンカルノー(Concarneau)から20分ほどだ。画家たちはポン・タヴァンの人間味のある旅籠めいた木賃宿が気に入った。画家たちは宿賃を描いた絵で支払っていた。画家たちはこの土地の風景のバリエーションと伝統的な服装や髪飾りなどに魅了されていた。特にJulia Guillouという田舎旅籠の歓待の良さが気安く泊まるのに気に入られていたという。この時代は構成力の弱い印象派から次第に画家たちは遠のいていく時代で、個々の色のビブラションの手法を去ってより客観的な原色の色彩面割へ向かう傾向にあった。つまりこうすることで印象派が得意でなかった精神的な思想や内面の感情の表現を描こうとしていたのである。具体的には遠近法を使わずに、モチーフとなる対象物を色彩面で分割しその周囲を暗く抑えるといった描き方だ。