2011年2月25日金曜日

フランスの付き合ってきたカダフィとは「過去は、善良な独裁者」で「今は、完全なキチガイ」なのか?

2月23日ミッシェル・アイオマリ外務大臣(MAM、前内相、元防衛相)の同伴者で国会連絡相のパトリック・オリエ(Patric Ollier 元フランス-リビア友好グループ会長)は「自分のしてきたカダフィとの過去の友情を後悔していない」と仏上院議会で発言した。しかし「こんにち、カダフィが殺害行為をしていることは弾劾する」と「カダフィの漂流を残念に思う」と話している。オリエ氏の見方だと以前のカダフィは善良な独裁者であって、現在の完全に狂ってキチガイになったカダフィが殺害をおこなっているとみているようだ。「自分は過去にカダフィと付き合ってきたことに後悔はない。今のカダフィを弾劾する」といっているのはそのためか。はたしてこのカダフィ論は正しいのであろうか。

オリエ氏は2003年から12回ほどシラク前大統領とサルコジ大統領の仲介役としてカダフィと会見してきたという。しかし「10年の間だれも何もいわなかったではないか」といっている。


カダフィがフランスを訪れた1997年の晩秋のことだ。フランスの多くの人々が独裁者カダフィに人権を守るように叫んだ。しかし、サルコジ大統領はカダフィに遠慮して厳しく批判しなかった。その時カダフィ自身は「サルコジが人権の話を(自分に)したことはなかった」と証言している。

問題は、何時からカダフィは独裁者になり人権に反することをしてきたのかということだ。そしてフランスは人権擁護の主張を捨て置いてこの独裁者を許してしまった。そこに人権よりも経済提携を重んじてきたという独裁者しか眼中になかった友好が現在のリビアの民衆の大量虐殺を生じたことになったとは考えないのだろうか。

面白いことにオリエ氏は次のように語っている。フランス通信(AFP23日)によると「2007年のカダフィは20年前の尊厳あるカダフィとは同じではなくなっていた」と語っているという。


2月中旬に新チュニジア大使にサルコジ大統領から任命されたボリス・ボワロン氏は2月19日にチュニジアで記者会見し、チュニジアのジャーナリストを叱りつけたことで大問題になっていたが、同大使は謝罪したが収まりそうもない。追い討ちをかけるようにボワロン氏は2010年の11月には「カダフィは自分のしたことを今は改心しているのだから、だれも間違いはあるのだし、これまでの誤りをいつまでもネガティブに悪く取って見ていてはならない」などと話してカダフィを支持する宣言をしていたのが明るみに出てさらに問題は拡大している。

このへんの事情を2012年2月25日の朝方の「ラジオFrance Info」でミッシェル・アイオマリ外務大臣が説明するという。フランス政府はリビアのムアマル・カダフィとの関係が深いだけに、どんなカダフィ論が展開されるのかが楽しみだ。