2011年1月17日月曜日

ニジェール殺害の2人の仏青年追悼大行進 田舎の町で5000人 「サルコジ仏大統領のテロ対策」に無言の抗議か?



ニジェールで過激派イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ(AQMI)とフランス対テロ特殊部隊との撃ちあいの渦中に殺害された2人のフランスの青年を追悼する大行進が16日、2人の故郷であるリール近くのランセィールの町で5000人の市民を集めて厳粛な追悼の行進が開催された。1分間の黙祷も捧げられた。政府批判の意味が込められたものとなった。市民の多くは「かわいそうに」「残忍なことを」「いったい誰が・・・」と口々に語っている。市長は16日夜のフランス・テレビTV3の放送では「ものには時と場所があるので、政治的な追求は葬儀の後になる」と語った。特殊部隊による政府のテロ介入の指令があまりにも性急でこれが2人の青年の殺害を可能にしたとする指摘が野党議員や死亡した青年の旧学友6人が抗議の公開文書を出している。
20時からのフランス国営放送・テレビA2では「ものには時と場所があるので、政治的な追求は祭式の後になる」と語った同市市長の談話箇所(TV3、上掲載)はカットされていて放映されてない。

事態は緊張したものになっていて、サルコジ仏大統領が参加する17日(月曜日)の同市での葬儀は、特別警戒態勢がとられると報道された。10時ごろか町は封鎖されて教会内での祭儀の参列者は制限される。一般市民は別のところで実況中継を見ることになると報道された。

特別警戒態勢を敷くということは逆に、ニジェールで殺害された2人の青年のことで、政府を非難する市民をサルコジ大統領が恐れ危惧していることを証拠づけたことになっている。

ニジェールでの2人の殺害事件は、すでに誘拐されている原子力産業のアレバ社員がいるが、ニジェールでのフランスの国益のためにテロリストとの戦争が叫ばれているのだとする指摘が出ている。今回の特殊部隊出動宣言があまりにも性急なもので、特殊部隊の追撃介入ともなれば専門軍人ならば当然のこと捕虜が殺害される危険は高くなることは十分に予測されていたはずだと、人権の尊厳を忘れた野蛮な行為との指摘が意見が高まっている。

したがって2人の誘拐された青年の死の帰結は予見できたものであるとして、アラン・ジュッペ防衛相やサルコジ大統領の軽率な性急な決断への批判が大きくなって、特に野党議員や死亡したアントワンヌ・レオクール氏の学友6人からは国防相らは辞任すべきだとの抗議文が提出されていた。

ニジェールで過激派イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQMI)に誘拐され、翌日の1月8日に殺害されたのはフランス人青年アントワンヌ・レオクール氏(25歳)とその幼友達バンサン・デロワ氏(25歳)だ。レオクール氏とニジェール婦人との結婚式に参加するためにデロワ氏はニジェールの首都ニアメーを訪問していて誘拐され殺害されたが、その犯人が仏軍隊(特殊部隊)の犯行だとする見方とともにそれを指揮した政府の責任を問う指摘が起こっている。アルカイダが犯人だとする当初のフランス政府発表とは様相が次第に異なってきている。