2011年4月7日木曜日

コートジボワールとリビアで 仏政治に「内政干渉」の疑問 バグボ、カダフィ空爆

コートジボワールの首都アビジャンの王宮地下に避難しているとされるロラン・バグボ前大統領はいまだにフランス・国連側の要求するアラサン・ワタラの大統領の勝利を承認しコートジボワールからの退出にも署名しない。4月5日にフランスは1500人の特別襲撃部隊(Licorneリコルヌ)によるバグボ王宮近辺の堡塁を空爆し市民の犠牲者もでた。コートジボワールやカダフィ大佐のリビアでの空爆は欧州(EU)諸国や国際社会を巻き込んだフランス政治の内政干渉としても疑問視されている。

多くの市民の犠牲者がでた。6日にはフランス軍は参戦を控えていてワタラ軍に最終戦をまかせると6日昼のフランス国営放送・テレビA2は報道した。ワタラ軍の立派な戦車には大勢の兵士が鈴なりに乗って町を走っているのが写されている。

しかしコートジボワールとリビアの危機では他のどの国よりも真っ先にフランスのサルコジ大統領は口を出している。これに対して内政干渉の批判が出ると直ぐに欧州議会(EU)や国連を繰り出させてその傘の中に姿を隠すという政治を使うことを常套手段にしているようにも見える。

ワタラ軍はロラン・バグボ前大統領の生け捕りが目的であるという。交渉は失敗しバクボは降参に署名しないので国際犯罪裁判所(C P I )に差し出すのだといっている。バグボは「大統領選挙は私が勝利したのだ」と今も言っている。

そのために国際社会やフランスが先導してコートジボワールに軍事介入してバグボを排除しワタラを大統領選挙の勝利者にした場合には、内政干渉の批判も免れない状況となっている。依然としてフランス国内にもコートジボワールにもバグボ支持者は多く皆無ではなく少数者を軍事的に排除する民主主義はないからである。

フランスはチュニジアやエジプトの「アラブ諸国の春」では出足が遅かった。独裁者のベンアリ大統領側近のアジズ・ミルド(d'Aziz Miled)からはミッシェル・アイオマリ外務大臣(MAM、前内相、元防衛相)が家族旅行でジェットキや豪華ホテルの恩恵を蒙っていてアラブ民衆の敵である独裁者との癒着が指摘されていた。フランス政府は民衆蜂起鎮圧のテクニックをチュニジア警察にもエジプトと同様に伝授し指導しようとしたことが暴露されてMAMは辞任に追い込まれた。

エジプトの独裁者ホスニ・ムバラク大統領からはフィヨン仏首相も年末年始にかけてジェットキや豪華ホテルのバカンス旅行で恩恵を受けていた。フランスの要人たちは「アラブ諸国の春」の民衆の動きに無関心で独裁者と付き合っていたことが大問題になった。しかもサルコジ大統領は2007年秋にはリビアの独裁者カダフィ大佐をパリに国賓として招待して原子力プラントや軍事契約の取引を成立させてカダフィを承認する方向で考えていた。そこでは人権尊厳が忘れられたフランスが問題視されていた。