6月17日、モロッコ王モハメッド6世は国民待望の憲法改正案を発表した。新憲法では首相は政府大統領として主権を強化することになる。王の宗教的政治的な権力は縮小化する。男女の平等や民衆が国民投票を組織することも可能となる。もし、7月の国民投票で60%以上の参加があれば、王政の旧憲法とヨーロッパにおける立憲君主制との妥協的な憲法として、これが民衆から支持されたということになるとフェリエ所長は見ている。
ルモンド紙はモロッコ王の発表した新憲法案に関してアラブ世界の専門家であるジャン-ノエル・フェリエCNRS国立科学研究所所長の解説を掲載したので紹介する。
これまでは王によって指揮される大臣の審議会で政治を決めていた。またそこでは議会の解散や現憲法に王の絶対権力が位置付けられていて、官庁や民事職務や公共事業体までが王に任命権があった。国の政治は今後は王の出席なしの閣議で討議することになる。
新憲法草案は民主主義的で非常に自由なものだとフェリエ所長は宣言している。男女の平等が憲法化されることになる。また憲法は国際的な条約や合意条項に準拠した精神の自由を、遠まわしながら、承認すべきだとしている。またフェミニスト組織は法的不平等を攻撃することもできる。民衆の主導による国民投票を行う可能性も彷彿させていると評価されている。
今後は首相は議会選挙による最大過半数党から選ばれて、王が任命するということになるが、王はそれを解任することはできないとしているという。
司法改革では、これまで王の代弁者である法務大臣によって高等司法審議会が采配されていたが、今後は独立した方法になると新憲法107条は保証している。