2016年4月28日木曜日

テロリストとは戦闘機や武器で 我々シリアの子供を殺戮する者  国連(ONU)安保理ジュネーブ交渉でロシア批判

(パリ=飛田正夫2016/04/28 11:22日本標準時)26日夜、ロシアは国連(ONU)の安保理のジュネーブ交渉に参加しているシリア反体制の蜂起市民グループ2つを「テロリスト集団」として扱うことを提案した。ロシアの国連大使ヴィタリ・チュウルキン(Vitali Tchourkine)氏は記者会見で、シリア危機交渉参加グループ・リスト中にあるアラール・アル・シャム(Ahrar al-Cham )とジャイシ・アル・イスラム( Jaïch al-Islam)とはテロリストだと考えられると発表した。同ロシア国連大使は続けて、「彼らはシリアでダエッシュ=イスラム主義国家テロリスト組織(IS)との武器やロジスティック通信機器などの支援を受けて闘っている」と言った。ジャイシ・アル・イスラム( Jaïch al-Islam)はサラフィスト系イスラム原理主義者の影響を強く受けた運動組織で、シリアの首都東部の郊外蜂起の重要な部分を担っているという。この中の指導者の一人モハメッド・アルーシュ(Mohammed Allouche)氏だ。アルーシュ氏は、「テロリストというのは殺害をする者のことであり、擁護する者のことではない」「テロリストとは戦闘機や武器を使って、我々の子供を殺害する者のことだ」と話している。知識人層と学生にも人気のあるリベラション紙が報道している。

アルーシュ氏は、今回のジュネーブでの国連主催のシリア危機交渉で、シリア反体制側蜂起市民側グループ側の交渉高等委員会(HCN)の責任者に任命されて出席し、24日には、アルーシュ氏は「ロシアはアサド体制を武力で支持している」「その戦闘機が我が国の同胞167人を殺戮した」とフランス通信(AFP)に宣言していた。

先週、このHCNは交渉の席を去ってホテルに閉じこもる戦略で、シリアが再開した反体制派側空爆を即刻辞めるように抗議しなければジュネーブを離れると脅かしていた。

前ロシア国連大使で現ロシア外相のセルゲイ・ラブロフ(Sergueï Lavrov)氏は、シリア反体制側蜂起市民側グループのこのような態度を、「気難しがり屋」で、「外国の庇護に甘えている」と批判して、欧米やサウジアラビアの庇護のことを彷彿させている。

23日には前日からシリアのアレップ(Alep)などでアサド政府軍の停戦を破った攻撃が強まり既に一週間で100以上が死亡している。犠牲になった市民も多い。23日には、ジャイシ・アル・イスラム( Jaïch al-Islam)陣営の居城であるドゥーマ(Douma)でアサド政府軍により13人が死亡している。

シリア反体制側蜂起市民グループで最強グループのサラフィスト系アラール・アル・シャム(Ahrar al-Cham)の首領が、自爆テロの中で殺害されている。シリア人権監視団体(OSDH)によると、アラール・アル・シャム殺害の犯行声明はまだ出ていない。



【参考記事】
http://www.liberation.fr/planete/2016/04/27/syrie-moscou-saisit-l-onu-pour-enregistrer-comme-terroristes-deux-groupes-rebelles_1449039