2016年7月9日土曜日

カダフィの次男の釈放は噂でも リビア再統一で貢献希望を宣言

(パリ=飛田正夫)リビアを42年間支配してきた独裁者カダフィ大佐の次男であるセイフ・アル・イスラム・カダフィ氏が釈放されたと、同氏の弁護士が8日にFRANCE24.comに会見し発表した。リビアの再統合に貢献したいとの意思を同氏の弁護士(Marcel Ceccaldi)を通してFRANCE24.comに再度7月8日に確認している。現在セイフ・アル・イスラム氏は首都トリポリの南西部180キロほどの大都市ザンタン(Zintan)からの招待をうけ現地に逗留中だというものだ。しかし、セイフ氏は、2011年11月に父親のカダフィが砂漠の土管の中で発見されて何者かによる謎の殺害直後に、リビアを逃げようとしていた時に、トリポリ政府に反対する民兵の1人によって逮捕されそれ以後ザンタンに拘置されていて釈放はされてないというルモンド紙やトリビューン・ド・ジュネーブの記事が直ぐに出ている。
いずれにしても、セイフ氏は、2011年に旧体制を終焉させようとしたリビア蜂起側の民衆抑圧の一翼を担った罪でトリポリ政府からは、2015年7月28日に死刑を宣告されていた。が、しかし、死刑は実行されていなかった。「川が最後の血で染まるまで」と約束していたセイフ氏はザンタンの刑務所に入っていた。ここを指揮するのは、国際社会の承認する国家統一リビア政府(GNA)に対して、GNAに反対する軍組織のアジミ・アル・アチリ大佐だが、大佐は、法的な枠外で囚人を扱っていてセイフ氏の裁判がトリポリで2014年4月にあった時も、トリポリ政府の要求する裁判を拒絶していたのである。セイフ氏の弁護士はGNAが承認したくなくとも、セイフ氏は釈放されたと言っている。


トリポリでの2014年4月の裁判は、ビデオ・コンフェランスで行われた。ザンタン法廷からセイフ氏の映像がトリポリへと送られたのであった。2014年以来、リビアはトリポリ(Tripoli)と、東部エジプト国境近くのトブルク(Tobrouk)との二つの政府に分裂していて、法制もそれぞれ異なっている。


トリポリ(GNA)は3月30日に死刑法をトリポリ政府全域に施行を許可したが、セイフ氏は、リビア法の認めるトブルク政府の議会が定める一般法の恩恵に浴しているわけだ。


一方で、セイフ氏にはオランダのハーグ国際刑事裁判所(ICC)の2011年に8カ月に及ぶ人権違反の犯罪が追求されている。セイフ氏の弁護士カリム・カーンはICCの総てのセイフ氏に及ぶ訴訟を消滅するように要求している。


このカダフィのリビア攻撃では、フランスのサルコジ前大統領が先頭になってリビアに夜の空爆を英国と共に行ったことも人権問題として、有名なジャック・ベルジェス弁護士などによって批判されていた。このフランスなどによる空爆でリビアのインフラが完全破壊され、リビアはアフリカや中東からの難民が地中海を渡るのに好都合な無法国家となってしまった。特に2015年頃から多くの難民の死への旅を演出することになったのである。


(文字数 ;1264)(投稿日本時間 ;7/9/2016 8:53:04)
【参考記事】
http://www.france24.com/fr/20150728-libye-seif-al-islam-kadhafi-fils-ex-dictateur-libyen-condamne-mort-contumace
http://www.lemonde.fr/afrique/article/2016/07/07/saif-al-islam-kadhafi-libre-et-convoite_4965151_3212.html
http://www.tdg.ch/monde/seif-alislam-kadhafi-toujours-derriere-barreaux/story/30326058