南仏アヴィニョンの町の18世紀の館がランベール基金の現代美術館になっていて4月17日に2枚の作品が損傷を受けた。作品は写真家のアンドレ・セラノ(Andrès Serrano)氏の「小便キリスト」という題の作品で磔刑のキリストが小便の中にいるという表現の作品である。19日には同美術館は厳重な警戒の下に開館が再開されている。「パリジィアン・今日のフランス fr.」が興味深いインタビューをしているので一部紹介する。
17日に2枚の写真の保護ガラスが2人の男性によって割られた。「作品を引っ込めるということは、彼等の肩を持つことになる。ドイツでは1930年代はこういう退廃といわれる芸術で始まったのだ」とエリック・メジール館長は作品に理解を示している。
館長は美術館の監視を強化して今日開館したという。今朝も入館検査を十分にするよう指示してある。破損を受けた2つの作品をそのまま傷のある状態で見せることにした。それは我々が文化省と話して決めたからだ。(作品)を傷つけるとはどういうものか。教育の面から興味深いものと考えたからである。
館長はさらに続けて非常に味わいある発言をしている。磔刑というのはキリスト教文化の伝統なのだが、それが突然、今日において、我々の時代に中世の取得物のようになってしまっている。私はそうして極右の保守主義や中世キリスト教の伝統保護主義を許してしまうことは、何にもかもかまわずに美術館を開くことになってしまうのだと語っている。ここに、館長が傷つけられた作品をそのまま展示して見てもらおうとした意向が読み取れるのである。
ランベール美術館を訪問した中年の男性ジャン・ルイさんは「これは作品表現でしかない。作品を見たくない人は見にやって来ない。それだけだ。他の人を妨げない。作品の破損は、私は驚きだ。スキャンダルである」と憤慨している。
アヴィニョン美術館学校校長のジャン・マルク・フェラリー氏は「これは、磔刑の形だが、ちがっている。自由な思想により、表現の自由によって、ちがっている。それは苦しみだが、我々の存在によって感じるものだ」と話した。
同校の学生のメリサさんは「これは表現の自由に対する攻撃です。芸術家は何かを表現しようとしている。作品を破壊するのは、表現というものを終わりにしてしまう」と意見を述べた。
(参考記事)
VIDEO. «Piss Christ» : le musée rouvre sans incidentHôtel de Caumont - Collection Lambert
http://www.cityvox.fr/visiter_avignon/hotel-de-caumont-collection-lambert_46584/Profil-Lieu