1946年10月27日の仏憲法の前文には、「フランス人民は人種や宗教や信条の区別なく総ての人間は、譲渡不可能で不可侵の権利を持っていることを新たに宣言する」とある。3月12日にフランソワ・オランド氏はこの憲法前文の「人種」という語を使わないことを宣言している。フランス共和国は多様性を恐れない。多様性は動きでありそれが生活なのだ(・・・)そこには人種の多様性はなく、共和国には人種に居場所がないのである。それ故に私は議会に憲法から人種という語を削除することを要求したと宣言している。日曜新聞(JDD).frによるとこの大統領選挙での公約は今夏までに議会で論議になるとしている。
3月15日に、このオランド氏の発言をサルコジ前大統領が批判している。サルコジ氏は、「ばかばかしさも度をこしている」とラジオヨーロッパ1で大統領候補とし発言していた。
しかし、このサルコジ氏自身が大統領であった時期に、人権は金がかかるとして人権担当大臣ラマヤダ氏を辞任させている。同氏の辞任は世界人権宣言の採択された由緒あるパリのシャイヨー宮殿で、しかも同じ日の12月に人権大臣の職を廃止したのであった。これは経済優先を宣言する人権への敵視であったとみるべきだ。いま振り返ってみるとフランスが人権を軽視してか国内の経済もうまくいかなくなってきたといえそうだ。フランスは人権を立てて栄える国だということを忘れるべきではないだろう。
日曜新聞(JDD).frによると、サルコジ氏は、「1946年の憲法の序文に人種とあるのは不可侵の条文なのだ」と強調しているという。
そしてこの語は「戦争のレジスタンスを戦った人々が書いたものでけっして人種差別を欲したものではない」のだと。
「いつか人種の語を削除してもその思想は削除できるだろうか?ばかばかしい事だ。問題は言葉でなくて現実である」と抗弁している。
さらにサルコジ候補は2013年1月30日の仏東部のブザンソンでの講演で、皮肉たっぷりに、「これはいっておく必要があ」として、「オランド氏はラシズム(人種差別)をなくす素晴らしいアイディアを考え出した。それは、ラシズムという語を削除することであった」
さらにサルコジ候補は2013年1月30日の仏東部のブザンソンでの講演で、皮肉たっぷりに、「これはいっておく必要があ」として、「オランド氏はラシズム(人種差別)をなくす素晴らしいアイディアを考え出した。それは、ラシズムという語を削除することであった」
「そしてこの様な思想の人間ならば、次には不正を消すためには、貧民街という語を削除する」と話している。さらに「貧困という語もなくし、失業問題の解決では失業者という語も失くすだろう。それでみんな平静になるだろう」とサルコジ氏はオランド氏を馬鹿にして話したと日曜新聞(JDD).frは報道している。
たしかにかなり冷静な論議とは言い難いものだ。サルコジ氏の仏大統領選挙演説では、カーンでもやはりオランド氏を馬鹿にしている。ナタリー コシュスコモリゼ仏エコロジー相や多くの国民運動連合(UMP)の聴衆を前に、訪問してもいない福島を視察してきたのだとサルコジ氏は嘘をついている。その時の状況を手振り身振りで可笑しく下品な口調で聴衆の笑いをさそいながら報告していた。このサルコジ大統領候補の虚言が後でオランド氏によって暴露された。オランド氏はこれで仏大統領選挙に勝利できる手がかりができたと話している。
人種差別という観点では言葉でなくて現実的にはアフリカ諸国などの旧植民地やフランス国内で差別を行ってきたのはフランスだ。ロマ人や旅の人々、アラブ移民にたいする差別政策をとってきたのはサルコジ前大統領の方がはるかに際立っているといえよう。ここでの問題は、言葉には存在がつながっているのだが、存在がなくなれば言葉の意味は軽減するということだ。
仏憲法の前文の、「フランス人民は人種や宗教や信条の区別なく総ての人間は、譲渡不可能で不可侵の権利を持っていることを新たに宣言する」から、「人種」の語を取れば、次のようになる。
仏憲法の前文には、「フランス人民は宗教や信条の区別なく総ての人間は、譲渡不可能で不可侵の権利を持っていることを新たに宣言する」。ここでの「総ての人間」というのは人種差別がないフランス人民のことである。その「総ての人間」の中に例外があっては「総てに」ならないからだ。これが仏憲法の掲げる理想ということなのだ。
人種差別という観点では言葉でなくて現実的にはアフリカ諸国などの旧植民地やフランス国内で差別を行ってきたのはフランスだ。ロマ人や旅の人々、アラブ移民にたいする差別政策をとってきたのはサルコジ前大統領の方がはるかに際立っているといえよう。ここでの問題は、言葉には存在がつながっているのだが、存在がなくなれば言葉の意味は軽減するということだ。
仏憲法の前文の、「フランス人民は人種や宗教や信条の区別なく総ての人間は、譲渡不可能で不可侵の権利を持っていることを新たに宣言する」から、「人種」の語を取れば、次のようになる。
仏憲法の前文には、「フランス人民は宗教や信条の区別なく総ての人間は、譲渡不可能で不可侵の権利を持っていることを新たに宣言する」。ここでの「総ての人間」というのは人種差別がないフランス人民のことである。その「総ての人間」の中に例外があっては「総てに」ならないからだ。これが仏憲法の掲げる理想ということなのだ。
【参考記事】
http://www.lejdd.fr/Politique/Actualite/Le-mot-race-bientot-supprime-de-la-Constitution-588996