2012年4月9日月曜日

仏のマリ国連介入要請は トータル石油の利権から 情報不足の中で新たな紛争を想定


フランスの4月3日の国連への呼びかけはなんだったのか?現地で仏のトータルが石油発掘をしているためだったのか?アラン・ジュッペ外相(前防衛相)はマリ北部でのイスラム主義の反政府武装勢トゥアレグとマグレブ諸国のアルカイダ(Aqmi)とが連盟しマリを占領することもあり得るとしてこれに対抗する行動を国連に3日要請していた。フランスそのものは現時点では軍事介入を否定した。しかしフランスはコートジボワールの場合でもリビアの場合でも必ず国連や欧州連合、北大西洋条約機構軍(NATO)などの国際社会組織を先に立てて事件紛糾の後で軍事介入してきたことを忘れてはならない。それはそこにフランスの利権が隠されているからである。マリの場合にはトータルの石油であることはまちがいない。一方、大統領選挙でのサルコジ候補支援のためにフランス国内でのイスラム主義対策とマリ北部でのイスラム主義をテロリズムのイメージに二重写しにしてその効果を狙ったものだとも考えられる。

4月3日といえばすでに1週間前であるが、このジュッペ外相発言はイスラム主義支配のAQMIとトゥアレグの連携を強調するもので、同外相の主張によってフランスのメディアは冷静さを失ってしまったようだ。ラジオなども学者専門家を呼んでマリ北部でのイスラム主義反政府武装勢力トゥアレグや「布教と聖戦のためのサラフ主義集団」(GSPC、現イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織(AQMI)との関係を論議させている番組が目立っていた。

しかし外務省のジュッペ氏からはトゥアレグ組織の長であるイアッド・アグ・ガリィ(Iyad Ag Ghaly)氏がAQMIに近い思想を持つもので両者の結びつきによるマリ占拠が心配されることや、マリのクーデタを弾劾する報告はあったが、現地からのジャーナリストの情報は何もなく、ツイッターなどによる情報を元にフランス国内でのメデアの報道が展開されていたのも異常であった。

その中でフランス国内の特にリヨンやパリ南郊外都市のグリニーやリス・オランジスなどでのイスラムを照準化したテレビ・メディアが招待されての警察の取り締まりが報道されたが、これは失策だと批判されている。大統領選挙のための右派の人々に照準化したサルコジ支援のメディア絡みの政策であるとの意見も強い。

マリ北部でのトゥアレグやAQMIの使用する武器はヨーロッパ大陸から来ていること、ここでは麻薬犯罪が横行している。

マリでは、フランスのトータル石油採掘の井戸が掘られていること、経済開発では南北の恩恵の格差が大きくトゥアレグとマリ臨時暫定政権との話し合いが必要だとする西アフリカ諸国経済共同体(CEDEAO)の意見も仏メディアでは報道された。