2011年4月23日土曜日

カダフィ軍巻き返しの「シンボルの町ミスラタ」が英仏を刺激 地上戦展開へ戦略審議委員送り 

リビアのカダフィ大佐への攻撃で、リビア市民の安全を考慮して2011年3月17日に国連安全保障理事会で決議されたリビア襲撃に関する条項「国連議決1973」が締結されたが、イギリスとフランスはこの議決下で戦う北大西洋条約軍事機構(NATO)の指揮を効率が悪いとして今のところNATO空爆はカダフィ軍のミスラタ攻撃を防衛する力を持たないと見ている。人口25万のミスラタがカダフィ軍巻き返しのシンボルの町となったことで英仏側はNATOを嫌悪していて、これでは市民の安全は守れないといいだしたことが地上戦略審議委員を送り込む口実となったようだ。
4月22日のルモンド紙は6、16、23頁にも関連記事を掲載

4月19日にイギリスが、20日にはフランスとイタリアがリビアの3つの都市へ地上戦略審議委員を送り込むとアラン・ジュッペ防衛相は宣言した。4月22日の「ルモンド紙」は報道している。既に現地に10数人が送り込まれているらしい。

オバマ米大統領は地上戦略専門の米戦闘機をリビア戦争から撤退させたいと考えていた。サルコジ大統領は米機の参加がなくなると他国の戦闘機では戦えないので参加を取り消さないように要求していた。が、「国連議決1973」の趣旨を尊守することを意図した発言でオバマ大統領はリビア市民の安全のために地上爆撃を回避したようだ。ところが英仏はどうしても地上戦争をやらないとカダフィ退治はできないと考えているらしい。

リビアに送るという地上戦略審議委員というのはリビア蜂起軍側の「反リビア政府臨時国家審議会」を支援することになるが、ロシアのプーチン首相などが心配しているのは多くの他の国と同じように地上戦略審議委員というのは力がないのであってフランス特殊部隊(Licorneリコルヌ)が背後に楯になっていないと何もできないという事実がある。


軍隊の介入が控えていることで戦乱になる可能性が高まることを恐れているわけだ。4月22日の「20ミニュト」紙は、英仏がリビアへ派遣する地上戦略審議委員の意味が何であるかを心配するプーチン首相の発言を掲載した。

リビアのムアマル・カダフィ大佐への戦争の始まりはサルコジ大統領が開始したわけだが、オバマ米大統領との違いはまさしくその戦争開始の理由の不明解さを糾さないまま泥沼化してしまっているという点にある。

「国連議決1973」は2011年3月17日に国連安全保障理事会で決議されたリビアと蜂起側の「反リビア政府臨時国家審議会」に関する条項。リビア上空に航空禁止領域を設定する事で、あらゆる手段を行使して、市民を保護するために各国の支持と参加とを可能ならしめるものであった。「国連決議1973」の目的は市民の安全保護になっている。

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