2011年2月22日火曜日

リビアの独裁者の人民への発砲は許せない 5日間で230人が死亡

リビアのカダフィの軍隊が政府に抗議する民衆に向かって発砲するという暴力の鎮圧にでている。230人がこの5日間で死亡していると人権監視擁護協会のヒューマン・ライト・ウォッチは見ている。月曜の21日だけでも160人が死亡したとドバイの米国寄りの放送局アル・アラビアは報道している。

チュニジアからリビアへ逃げた人々も治安が危なくなっていてチュニジアへ戻っていると報道されている。またリビア軍隊のフランス製戦闘機ミラージュF2が2機マルタ島を飛び立ったが操縦士は人々に向かっては撃たないといっているという。

インドやストックホルムではリビア公館の職員の中でリビアの暴力に抗議して辞任する人も出ているという。



リビアの独裁者に戦闘機を販売、「キチガイに刃物」のカダフィにサルコジも責任が

リビアはフランスが誇る最優秀戦闘機ラファールを最も多く所持しているお得意先だ。独裁者カダフィがミラージュやラファール戦闘機、戦車や戦闘用ヘリコプターを所持していなければ400人もの大量虐殺が起こらなかったのではないか。「キチガイに刃物」で、独裁者に戦闘機や銃兵器を売ってきたサルコジ大統領の責任も問われべきである。2007年秋にカダフィはフランスを訪問しルーブル美術館やベルサイユ宮殿を訪問し、パリ西部近郊のランブイエ城では狩猟までさせてカダフィとの多大な経済契約を取り交わした。

しかし国民はカダフィが独裁者であるために人権の面で注意することをサルコジ大統領に要求していた。

カダフィのフランス訪問の最終段階になってやっとサルコジはこの人権問題で発言し「リビアが人権の面で進歩してきているのを賞賛する。これを今後も押し進めるように」といったと、リビアの人権問題をカダフィに話したと、テレビで語っていた。ところがジャーナリストが「サルコジ大統領はあなたに人権問題を話したのか」とカダフィに糾したところ、その答えは「そんな話はした覚えはない」とカダフィが答えたことからこれが当時も大問題になっていた。

この事件が再度2011年2月22日のフランス国営放送・テレビA2の夜のニュースでも両者の意見の食い違いとして問題にアップされて取り上げられている。

しかしこれは両者の単なる食い違いであったのだろうか?サルコジ大統領はイランのマハムード・アハマディネジャド大統領には大変に厳しいが、独裁者カダフィには目をつぶって戦闘機や原子力施設などを危険視することもなく販売してきたのはどうなっているのか?「キチガイに刃物」を与えるとどうなるのかを知っていながら、独裁者の危険な国に銃機を販売していたのではないのか?

イランのアハマディネジャドを批判したのはリビアと違って商売の可能性がないと見ての批判だったのかと思われるのだ。

このことを証明するかのように、2月中旬に新チュニジア大使にサルコジ大統領から任命されたボリス・ボワロン氏が2月19日にチュニジアで記者会見した時に独裁者ベンアリ前大統領とミッシェル・アイオマリ仏外相(独裁者ベンアリの側近者から特待のチュニジア家族旅行を受け、同行した外相の両親は同側近の持つ会社株に巨大な325億ユーロ(約39億円)の投資をしていた)との関係を質問されたが、これに腹を立ててチュニジアのジャーナリストを叱りつけていた。

その横柄な新任大使の態度に大きな批判が出て、ついに同大使は謝罪した。しかしこの40代の新タイプの外交官とされるサルコジ寄りの大使は、昨年11月にもフランスのテレビに出演して同様な発言をしていたことが指摘されている。「リビアのカダフィ大佐は自分のしたことを改心したのだから、だれも間違いはあるのだから、これまでの誤りからネガティブにいつまでも悪く取って見ていてはならない」などと話している。

ボリス・ボワロン氏のこの話は2010年の11月のもので、まだチュニジア革命も勃発していないいわばイスラム・アラブ世界の革命前夜の話しとして興味深いのだ。サルコジ大統領に信頼があるとされるチュニジア新任大使ボリス・ボワロン氏は、カダフィを自分の子供であるとして、「キチガイ」とはみてない。もちろん「独裁者」とも見てなかったということだ。

「自分の子供」で経済パートナーだとしている。この認識の誤りと食い違いはサルコジ大統領のそれと大変に似ているものなのではないのか?そこには国の代表者?独裁者とも付き合いのは当然で前任者たちもしてきたので自分も同じことをしたという誤った認識があるようだ。そうでなければ本質的にその支援者であったということなのか?

このことはリビアで起きた今回の大量虐殺の本質的な問題である。リビアの独裁者を善人扱いしてきた偽った認識が、すでに400人もの人命を戦闘機やヘリコプターで殺害してしまった。大量虐殺の原因はキチガイに凶器をわたした者にもあるのではないか?このことを人権擁護団体や欧州議会議会、ならびに国連安全保障理事会はよく考慮して大量虐殺の責任を追及しなければならない。

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